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A.I.と音楽 A.I.が人の代わりにいろいろなことをしてしまう時代がくるようです。人間の仕事はだんだんなくなって、ギリシア時代の市民のように、人々は労働から解放され、哲学を語り、スポーツを楽しむことになるのでしょうか。A.I.の出現は人類にとって、農業を始めた時、産業革命を起こした時と同じくらい大きな出来事になるはずです。 A.I.は音楽にどんな影響をあたえるかを考えてみました。商業音楽はA.I.が有利になりそうです。たとえばショッピング・センターで「売り上げを伸ばす曲」を作らせたら人間以上の仕事をするでしょうし、ヒットする曲も人間以上にうまく作り上げるかもしれません。しかし、人間の精神に何かを与えるような曲を作れるかは疑問です。 モーツァルト作曲の『フルート、ハープそしてオーケストラのための協奏曲』の2楽章、オーケストラの提示したテーマをフルートとハープでなぞるのですが、聴く人はモーツァルトの「精神の在り方」に感化され感動します。 おスゝメ、 1分前後から モーツァルトはことさら技巧を凝らしているわけではありませんが、理屈抜きに人の心をうつ。彼の「精神の在り方」に触れて人は感動するのだと思います。モーツァルトの技法を研究し、それを真似ても、同じ高みを再現することはできません、人もA.I.も。ただ、人間はその人固有の「精神の在り方」を持っていて、それによって人間の精神に何かを与えるような曲を作ることが可能だということなのでしょう。 A.I.と接する時、人間が一番気をつけなくてはいけないのは「擬人化」だと思います。壁のシミにも人間の顔を見つけてしまう人間は、この擬人化にはそうとう慎重に対応する必要があるでしょう。シンギュラリティ後のA.I.を危険視する人も、多くは、この擬人化の罠にハマっていると考えることもできます。 これからの人類は今まで以上に、人の持つ「精神の在り方」に敏感にならざるをえない、とぼくは考えています。A.I.が固有の「精神の在り方」を持つことは不可能だと思います(A.I.は生きていないから)。でも、彼らはあたかもそれを持っているように振る舞うことはできるようになるでしょう。近未来、「精神の在り方」を見極める能力を磨くことが大切になり、そのことによって人類は新たな成長をすることになるのかもしれません。 ※ SF的に言えば、人間がある音楽を聞いて感動した時、どんな脳内物質が分泌されるかというようなデータをA.I.に与えれば、「人間の精神に何かを与えるような曲」を作ることができるかもしれませんが、そんなデータはA.I.に渡したくない。 |